今年も終戦記念日が巡ってきました。これを敗戦記念日と称すべきだとする考え方もあります。でも勝つと信じ込み、信じ込まされてきた日本人には敗戦と認識するには忍びなかったのでしょう。
 BS放送でON AIRされている〈あぐり〉(1997年24年前の朝ドラ)が終盤に差し掛かっています。日本が終戦に近付いている頃が描かれていて、頻繁に主人公の美容室を訪れる町内の婦人会の煩く意地悪なおばさんが登場しています。如何にも意地悪そうで主人公たちの立場を応援したくなります。 
 でも当時はきっと主人公たちのほうが困った人たちだと認識しているのが一般的だったに違いありません。

 日本人は世間を大切にします。祖母などは世間に様を付けて世間さまなどと言っていました。世間という概念は社会的な立ち位置によって異なり、隣近所といった狭い範囲の場合や町や県を認識している場合もあります。いずれにしても世間の趨勢を忖度して過ごせば自分で考える必要がなくなるだけでなく自分の行動の責任を取らずに済むと錯覚することができるのです。
 そんなわけですから世間を大事にする私たちは自分の考えを責任をもって主張する習慣がありません。それがSNSで相手にネガティブな言葉を無責任に投げ付けることにもなるのかも知れません。匿名なら責任を取らなくても済みますから。

 その昔職場で問題を曖昧にせずきちんと片を付けた際「…白黒はっきりさせるね…」という密やかな声が聞こえました。当初はどちらかと言えば誉め言葉かと感じていたのですが、そうではなく否定的な評価だったと知りました。

 終戦記念日が近付く頃だけ戦中の日本の状況を反省しますが、そうではなく日常的に自分でものを考える習慣を大切にしたいものです。世間への忖度はほどほどにしたほうが正義かも知れません。
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68 終戦記念日間近
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ていいちOTP

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