38 ネット通販

ていいちOTP

  昨日インターネットで注文したものが届きました。クルマのコーナーポールです。コーナーポールは何となく初心者が装着するもののようですが10年以上前から使っています。これは一度使えば便利でやめられません。
 過日、出先の駐車場で誰かに引っ掛けられ折れてしまいました。近隣のカー用品店へ行きましたが以前と同じものがなく、気に入ったものもありません。今のクルマに慣れたのでポールがなくても心配ないのですが、これまで目印にしていたものが無くなって戸惑いました。そこでネットでそれらしいものを見付けたので注文をいれました。1,000円余りという値段で送料なしだったので半信半疑でしたが届いたものを見ると“立派な商品”で驚きました。

 通信販売は半世紀以上昔からありました。中学生の頃、少年雑誌の広告を見て郵便でイヤホンを注文したことを覚えています。配送も郵便でした。現在はインターネットがあるのでディスプレイで商品情報をかなり詳細に知ることができます。10年余り前に初めてパソコンを入手した時はデジカメ画像を扱うことが目的でしたのでネット通販を利用するようになるとは考えもしませんでした。

 通販が便利に利用できるためにはネット環境のほかにもう一つ条件があります。宅配便の充実です。因みに『宅急便は』ヤマト運輸の登録商標なので他の運送会社は『宅配便』と称しています。
 この小口取扱い配送システムはヤマト運輸が先駆けで、他社はその盛況ぶりを見て参入したのです。宅配便は離島でなければほぼ3日以内に注文品が届きます。またほぼリアルタイムで配送状況をネット上で確認できます。ネット通販を初めて購入したのはプリンターで、以後味を占めてさまざまなものをネットで購入してきました。現在利用しているのはDELLのパソコンですが、これもネット通販です。

 少し前まで近隣の量販店ではネット通販の価格を伝えても
「ネットとの競争はありません…」とけんもほろろでした。しかし最近ではネットでの数字を伝えると、その店舗で可能な値引き額を調べてくれるようになりました。そのようにして近隣の量販店で購入した家電品もいくつかあります。それでもネット通販で物を購入することがとても多いのです。

 しかしネット通販には独自の問題もあります。あるとき妻が欲しいと言ったものをネットで探そうと話したところ「またネットか…」と呟きました。妻にとっては実際の店舗でショッピングする楽しみがないのが詰まらないのです。しかし大型店へ出向いて商品を見たあとネットで探すと殆どのものが安いのです。送料を含めても尚かなり安い場合が多いのです。また送料無料を謳っているショッピングサイトもあります。そのため結局ネット通販で購入することになります。

 このように考えるとネット通販はいいこと尽くめのようですが勿論そうではありません。ネットショップでは実店舗を持たないところが多いのです。ネットショップはショップのサイトが総てです。ホームページはパソコンやスマホのディスプレイで表示するデジタルの幻と言ってもいいのです。サイトさえそれなりに作成すればショップは成立します。あとは注文を待つパソコンの番をするスタッフがいればよい訳です。在庫を持たず注文を受けてから商品をメーカーなどから仕入れることもできます。1年ほど前、大阪府にあるショップへ注文した商品が近隣にあるメーカーの工場から直送されてきたことがあります。ショップが在庫を持たない場合は発送が数日後になると明記されています。

 また常識はずれに安いショップでは注文者のカード番号その他の個人情報を悪用することもあります。2年ほど前、突然カード会社から電話が入りました。担当者が「外国のある町でカードが使われていますが、その覚えがありますか?」と尋ねました。非常に驚きました。外国旅行をしたことがなく、覚えのないことでした。その旨伝えると
「ではこのカードは止めます。後程別のカードをお送りしますので、カード払いにしておられる支払先などへ改めて手続きをお願いします」と言われました。幸い該当の国外のショップに対する負担については何もありませんでした。カードにはそうした危険がありますのでショップを選ぶ際には値段ばかりでなく過去の利用者の『ショップ評価』などを十分参考にしなければいけません。

 ネットショップでは概ね地方の実店舗よりも値段が安いのですが、実物を確認しないと失敗する商品もあります。それは身に着けるものです。靴や衣料品、そしてチェアーなどです。これらは長く使うものでもあり自分の身に合わないととても困るのです。ネットショップでは基本的に商品に瑕疵がなければ返品はできません。購入者の都合で返品されてはショップの運営が成り立たないでしょうから無理もありません。

 通販は幾つかの条件があり、注意して利用すれば、商品を安く購入することができて素晴らしいシステムです。しかし不安もあります。そのため実物を近隣の実店舗で確認し、購入はネットショップということが進めば全国各地のローカルな店舗は運営できないでしょう。ネットショップを利用していれば不都合がないとも考えられますが、やはり不安が残ります。それはいざとなれば実店舗の存在が心強いということかもしれません。

 現在まで日本各地のローカル鉄道で採算が取れなくなり、廃止が決まった途端、大勢の人々が乗車して廃止を惜しむ光景が見られましたが、消え去る鉄道にカメラを向けている人々は普段は車を利用していて滅多にその鉄道を利用しないのです。同じことにならない為にも近隣の店舗である程度ネット価格を相手にするようになってきたのは嬉しいことです。僅かな違いであればネットショップよりも実店舗で買いたいと思っている人が沢山いるでしょう。

 ネットショップやネット銀行を不確実なものだと感じて利用するのを躊躇う人も大勢いるようですが、その大きな原因はIT技術の表現の仕方にあります。
 最近、『クラウド』と称して情報を空の雲間(cloud)に仕舞っておくかのような表現をしているが、如何にも非科学的で“摩訶不思議”な感じがするので『クラウド』などという表現をしないほうがよいと思います。

 実は数年前までインターネットというものを合理的、具体的に考えたことがありませんでした。URLをブラウザへ入力するか適当な文字列を入れると殆どアッという間に情報が現れることが、なんとなく神業のようにも感じていたのです。そんなインターネットの仕組みを合理的に理解できたのはウェブサイト(ホームページ)を作ってみようとした時です。図書館でホームページの作り方の本を見つけ、最初はやる気などないまま読み進みました。
 読んでみると『ホームページ』はパソコンの中で作成したデータを企業が提供している『サーバー』へアップロードして“置く”のだと分かりました。よく分からなかったホームページのイメージが突然はっきりしました。

 要するに『インターネットをする』というのは、IEなどのブラウザを利用して世界各地にある無数の『サーバー』と呼ばれるコンピュータの巨大な容量のストレージ(HDDなど?)へアクセスし、そこに置かれたデータ情報をダウンロードしているのです。

 そのためサーバーのコンピュータが壊れるとアクセスできなくなりストレージも壊れた場合、情報は一瞬にして消滅します。勿論それを避ける対策をしていますが完全ということはあり得ません。しかしITに限らず人間が作ったものに『完全』はないのですからITの世界でも悪意のある情報を避け、善意のサイトを利用するように注意すれば、より幸福になれるに違いありません。

 インターネットは素晴らしい技術です。利用者は悪意のあるサイトに注意を払いつつ、圧倒的多数の善意のサイトを利用したいものです。ネット通販やネットバンクは『信頼』が命です。『信頼』が崩れればネット通販は消滅します。


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